子どものいる夫婦が離婚した場合、子どもを引き取らなかった側は、子どもが大人として自立できる年齢になるまでに必要とされる「衣食住費」「教育費」「医療費」などの養育費を支払う義務があります。
ところが子どもにとって大切な権利である養育費請求にも、すくなからず壁があるのです。
実際に養育費を受け取っていない母子世帯に理由を聞くと、
「面倒だから」
「離婚後は一切関わりたくないから」
「早く離婚したいから」
「話し合っても、折り合いが付かなかったから」
「払ってくれそうにないから」
といった返答が返ってきます。
しかしどれを見てもすべて親の勝手な都合ではないでしょうか?
子どもの権利をドブに捨ててませんか?
学校へ通わせていれば、様々な物品が必要になったり、行事への参加費なども必要です。
学用品をはじめ、洋服や医療費なども含めて、子どもの成長に応じて用意する必要があります。
子どもの生活水準を落とさず養育していくために、お金は1円でも多くあるに越したことはないのですから、養育費請求の努力をきちんとするべきなのです。
離婚によって家族がバラバラになること自体が、子どもには大きな衝撃です。しかし、養育費を毎月きちんと支払ってくれる父親の存在が、
「離れて暮らしているけれど自分は大切に思われている」
という印象を子どもに与え、結果的に精神安定に繋がるという統計もあるそうです。
夫婦間の問題は子どもには関係のないことですから、子どもたちを後々苦しめる結果にならないようにするためにも、離婚するときは養育費についてきちんと話し合いをして、取り決めをしておくべきです。
養育費の相場
お金は離婚した双方がこれから生活していくためになくてはならないもの。さらに離婚の原因において、有責が発生していれば慰謝料の支払い請求もあります。
そんな中で離れて暮らす我が子に対して支払う養育費の話し合いは難航しがちで、養育費の計算が円滑に行えるよう裁判所が作成した「養育費算定表」が利用されていますが、あくまでも参考的な基準になるだけで、それに従わなければ法的な拘束があるかといえば今のところありません。
例えば…
子どもの年齢 | 父親の年収 | 母親の年収 | 養育費 |
5歳と3歳 | 500万円 | 0円 | 8万~10万円 |
12歳と9歳 | 450万円 | 100万円 | 6〜8万円 |
15歳と10歳 | 400万円 | 300万円 | 4〜6万円 |
といった感じで、養育費を支払う側の収入や親権者の年齢、子どもの年齢などによって金額は変動します。また、これは子どもと離れて生活する親だけではなく、子どもと生活を共にする側の親の生活レベルも、算定条件に入りますので、養育費の金額に基準はありません。
例えば、子どもを母親が全員引き取ったと過程した場合、母親に経済力がないことが証明されれば、離婚し別居となった元父親側が全額を負担することになります。
養育費の金額が協議の席で決まらない場合は、家庭裁判所や地方裁判所の判決に委ねることができますので、子どもためにもきちんと取り決めましょう。