親権を得ても子供と一緒に住めないことがある

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配偶者と別々に住むこと、別々の生計となることだけが離婚ではありません。
夫婦間に子供がいれば、その子供の親権問題や養育費のことも話し合わなければなりません。

離婚を決めたとき、お互いに時間をつくってきちんと話し合っておいた方が良い項目は、慰謝料や財産分与のような金銭的な物だけではなく、子どもの親権をどちらが持ち、養育費はどちらが、いくら、いつまでに、どのように支払うのか、しっかり決めておく必要があります。


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「親権」とは子どもとの生活が確約される権利ではない

ここで、ひとつの事例を紹介します。

奥様の不倫が原因で離婚することになったAさん。
奥様は専業主婦で、Aさんは会社役員でした。
子どもは6歳の息子と3歳の娘が2人。

奥様が子どもを親に預け、度々不倫行為をしていたことが許せないAさんは、子どもの権利と生活を護るために親権は絶対に譲らないことを条件に、協議離婚を奥さんに持ちかけました。

しかし奥様も自分の不貞が原因の離婚とはいえ、子どもは絶対に譲らないの一点張りでした。

両者譲らずなかなか折り合いがつかない中、家庭裁判所で親権について判断を委ねることになったのですが、実はAさんは海外出張が多い職業で、家を留守にすることが多かったのです。
そのため、父親であるAさんは幼い子どもの世話や教育ができないと判断され、財産管理を含めた親権はKさん、奥様が監護権を持つという例外判断を受けました。

つまり、親権そのものは手に入れたKさんですが、子どもたちは奥様と一緒に住むことになったのです。

 

監護権とは?

実は親権は、『財産管理権』と『身上監護権』というように二通りに区分されています。
例え親権を得ていたとしても、子どもの近くで世話や教育が可能でなければ『健全な子どもの育成』ができないと判断され、子どもと一緒に住むことはできません。

それは子どもの権利を守るための大切な措置と言えるでしょう。
この事例の場合は父親が子どもの傍に居ることができない期間があるが、経済力は奥様よりもあることで『養育費』を、一方、傍で養育が可能な奥様が子どもと一緒に生活をする権利を得た稀なケースとなります。

離婚による一番の被害者は子どもたちです。
親は子どもたちの生きる権利を護る義務があるので、Aさんは自分に成り代わって子どもを養育してくれる元奥様へ、毎月養育費をきちんと支払わなければなりません。

ひとえに『親権』といっても、必ずしも子どもと一緒に生活ができる特権というわけではないので注意が必要です。

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