離婚する際の養育費についての話し合いの席で『どんな理由があっても養育費の減額および増額もしない』という条件で離婚に応じ、その内容を含めた離婚協議書を作成したのち、公正証書を作成しました。
しかし、私が再婚したことで子どもが養子縁組を結んだことを知った元夫は、約束を反故し、養育費返還請求をおこしてきたのです。
養育費返還請求は公正証書に反するのでは?
Q.『どんな理由があっても養育費の減額および増額もしない』という条件で離婚に応じ、それらを公正証書に記したのに、なぜ養育費返還請求が行われたのでしょうか?
A.そもそも養育費は子どものための費用であり、離婚後の親子が生きていくための生活費ではありません。そのため公正証書を作っていても、子どもに養子縁組などの「事情の変更」があれば、養育費の増額や減額が認められる可能性があります。
養育費返還請求について
再婚相手と子どもが養子縁組を行った場合、養子縁組をした者が今後子どもに対して扶養義務を負うことになり、実父は法律上の養育義務が原則免除となります。
そのため養子縁組を行ったのを秘密にして、養育費を貰い続けていた場合は、其の期間の養育費の返還請求を行うことができます。
過去には、養育費の不正受給を知った元ご主人が、養育費返還請求をしない代わりに、「将来何があっても養育費の請求権を妻が放棄する」ことで調停が成立したケースもあるようです。
離婚協議書(離婚合意書)と公正証書の違い
■離婚協議書(離婚合意書) 財産分与や親権、養育費、慰謝料、年金分割、子どもとの面会交流など、離婚後におこりうる様々な事由に対して、夫婦で取り決めをした約束を証明するための書面のことをいいます。 口約束では「言った言わない」の口論になることを回避するために、お互い合意の上で一緒に項目を作成して、書面として残すことは大事だと思われます。 特に決められた書式や形式などは一切なく、話し合った約束事を書いたのち、当事者二人の署名捺印を行い、1通ずつ同じものを保管するようになります。
■公正証書 例えば、養育費の支払いが滞って約束した金額が振り込まれなくなった場合など、公正証書があれば、相手の給料や財産を差し押さえることができるようになります。 公正証書を作成する際、いくらかの費用は掛かりますが、当事者二人で取りまとめた内容、実印、印鑑証明、身分証を持って公正役場へ二人そろって行く必要があります。 どうしても話し合いの席で揉めて進めないような場合は、離婚対応のエキスパートである弁護士に依頼することも念頭に入れておいた方がいいかもしれません。 |