随分と前の記事になりますが、『平成28年度全国ひとり親世帯の養育費の実況(その2)』において、母子世帯で養育費を受け取っているかどうかの調査がおこなわれています。
アンケート結果には、現在も受け取っている人は24.3%しかおらず、全体の3/4もの母子家庭で養育費を受けていないことが判明しております。。
養育費を払わない元パートナーに喝!
離婚時に取り決めをした養育費。
例え裁判で支払いの判決がおりていようとも、いつのまにか振り込みが止まったり、勝手に減額されたり、そもそも離婚後の初月から一度も貰っていないなど、養育費にまつわるマイナスな話は尽きません。
離婚したパートナー側に十分な資産があっても、養育費を一切未払いのままでは、我が子の幸せを放置していると言われても過言ではありません。子どもの幸せに無関心な人がおよそ75%もいることに、正直驚いてしまいます。
子どもが不自由なく幸せに生きるための権利が養育費です。
取り決めに添って支払わない相手に対して、これまでは下記の2つの方法が主流でした。
①内容証明書を送付して直接請求する
②「履行勧告」「履行命令」などで裁判所を通じて請求する
これら一般的な方法で、養育費の不払いに応じそうにないときの最終手段として「強制執行」が存在します。
なお、養育費の強制執行をするためには3つの条件があり、
- 債務名義と送達証明書がある
- 相手の現住所を把握している
- 相手の財産を把握している
となっています。これらの条件を満たした場合にのみ、養育費未払いの相手方に強制執行が適用され、給与や預貯金なのど財産の差し押さえが可能になるのです。
強制執行では、元パートナーの土地や不動産の差し押さえも可能ですが、「給与」と「預貯金」を抑えるのが一番手っ取り早いです。
養育費の強制執行のために必要な書類
地方裁判所に申し立てにいくためには、複数の書類を用意する必要があります。
例えば…
- 執行認諾文言付き公正証書
- 送達証明書
- 資格証明書
- 住民票
- 戸籍謄本
- 当事者目録
- 請求債権目録
- 差押債権目録
これら裁判所へ提出する書類に不備がないように準備することは、もちろん一般の人でも出来なくはないですが、弁護士におまかせする方が確実です。
また、元パートナーの銀行口座などの特定は、個人のプライバシーにも関係する事項となりますし、嗅ぎまわったとトラブルになってからでは遅いので、やはり弁護士に正式に依頼し、弁護士会照会で調査をして頂くのが最適かとおもいます。
なお、養育費の強制執行のために申し立てるのは、自分の居住地の裁判所ではなく、元パートナーの居住地を管轄する地方裁判所に出さなければなりません。
養育費の強制執行の手続きで気を付けたい事
強制執行の効力は絶大であり、申告が承認を得れば元パートナーも従うほかありません。また、強制執行をしたとて、未払いであった養育費を全額回収できるかといえばそうではないようです。
さらに、強制執行から免れたい元パートナーが先手を打たないとはかぎりません。
例えば…
- 行方をくらます
- 居住地を不明にする
- 預金口座からまとまったお金を引き出した後
- 会社を退職した
などがあげられます。あの手この手で養育費の支払いから逃げ回る姿は、さぞかし無責任に映る事でしょう。
長らく未払いにされてきた養育費を取り立てることは、子どもの権利を守る事であり、養育費は子どもの生活が潤うだけではなく、将来へと繋がる大切な資金といえます。それを放棄するのは親にあるまじき行為といえるでしょう。
のらりくらりと支払わず、親としての義務も果たさず、自己都合で逃げ回る元パートナーには熱い鉄拳のお見舞いがあってもよさそうです。