平成28年度全国ひとり親世帯の養育費の実況(その1)

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離婚をする際に夫婦の間に子どもがいる場合、親権のこと養育費の問題は避けて通れません。
しかしながら「養育費」という責任を放棄し不払いでトラブルになるケースも少なくありません。

子どもを引き取らなかった側は、子どもが大人として自立できる年齢になるまでに必要とされる「衣食住費」「教育費」「医療費」などにおいて、普通の生活ができるように養育費を支払う義務があるのにも関わらず…。

厚生労働省が平成28年に調査した平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告には、養育費にまつわる実態が調査報告として記載されています。


未払い養育費 相談

❖ひとり親世帯それぞれの状況

(1)ひとり親世帯になった理由
母子世帯:1位離婚(79.5%)、2位未婚の母(8.7%)
父子世帯:1位離婚(75.6%)、2位死別(19%)

(2)ひとり親世帯になった時の年齢
母子世帯:平均33歳
父子世帯:平均39歳

性格の不一致、DV、経済力、異性関係・不貞行為など離婚の理由は様々で、日本では『1分に一組結婚して、2分に一組離婚してる』という揶揄もあるほど、ひとり親世帯になる理由は『離婚』が男女ともに断トツの1位。
中には挙式後わずか15分で離婚を申し立てたカップルもいるとか…。

ひとり親になった時の年齢は30代に入ってから最も多く、女性は前半、男性は後半にかけて多い傾向。死別については40歳前後が最も多い結果となった。

 

(3)ひとり親世帯の就業状況
母子世帯:1位パートアルバイト(43.8%)、2位正社員(44.2%)、無職(9%)
父子世帯:1位正社員(68.2%)、2位自営業(18%)、パートアルバイト(6.4%)

(4)ひとり親世帯の世帯構成
母子世帯:母子のみ(61.3%)、親族と同居(38.7%)
父子世帯:父子のみ(44.4%)、親族と同居(55.6%)

経済力の差は男女で明らか。母子世帯は公営住宅やアパートなどの賃貸が全体の60%を占めているうえ、月約20万の収入で全てをやりくりするとなると、どこかにしわ寄せがいくのは当然ですよね。

またひとり親世帯は平均して3人前後(親1人、子1~3人)での居住が多く、小さな子を抱えて仕事と家庭を両立するのは大変です。離婚理由によっては周りに身内がおらず助けてもらうこともままならない状況の方も少なくなく、もっと多くの収入を得たいと思っていても困窮した現状に身動きが取れないことも。

しかし夫側は地元に残るケースが高く、親兄弟などの親族の手を借りて子育てを任せ、仕事にでる傾向が非常に高いことがうかがえます。

 

(5)ひとり親世帯の就労による平均年収と預貯金
母子世帯:約243万円、預貯金50万未満(39.7%)
父子世帯:約420万円

(6)ひとり親世帯の帰宅時間
母子世帯:平均18時~20時に帰宅
父子世帯:平均18時~20時に帰宅

収入は日々の生活に密着した問題であり、補助金などを得ても離婚前の安定した生活が手に入りにくいとされています。特に女性は、社会から離れ出産育児のまさに真っ最中に離婚となるケースも少なくありません。

乳幼児を連れたまま離婚しアパートで母子暮らし、子育てでフルタイム勤務はままならず…と、離婚による経済リスクは予想以上に大変で、元夫との経済格差や生活の困窮により精神的不安にも繋がります。
そのための社会福祉に補助金制度。そして養育費。

子どもには、不自由のない生活を送る権利があり、それを守る義務が親にはあります。
国の助成制度もさることながら、離婚に巻き込まれた子どもたちには養育費の存在が非常に重要なのが見てわかります。

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