離婚と養育費

結婚に関するアンケート調査を色々見ていくと、離婚のハードルが低くなったと感じさせられる回答があります。

「結婚相手に満足できなかったら離婚すればいい」
と考えている独身者や実際に離婚した人が増えているのです。

現在日本では、3組に1組の割合で離婚していると言われており、年々増加傾向にあります。

昔のように女性が家事や育児に専念するというスタイルから、やりたい仕事に就いて活躍するという女性も増えています。また、経済的な理由から夫婦共働きをせざるを得ない家庭もあります。

その中で、仕事によってはお互いの生活がすれ違ったり、結婚後に性格や価値観に相違が出てきたり…など、夫婦生活がうまくいかなくなることもあります。

子供がおらずお互いがまだ若ければ離婚することはあまり障害にはなりませんが、子供がいる場合の離婚は親権のこと養育費の問題は避けて通れません。
特に養育費の支払いでは、最初の数回は振り込みがあったのにそれ以降まったく振り込まれず、行方もわからなくなるというケースもあります。

養育費の不払いへの対処法としてまずあげられるのが、離婚時の約束(公正証書や調停調書で支払い方法や、滞納時の強制執行に関する条項)に従って請求をします。
書面による取り決めをしていれば、裁判所で次の手続きが行えます。

■履行勧告
家庭裁判所へ履行勧告の申し立てをします。費用がかからず特別な様式もないため、電話でも簡単に申し立てを行うことができます。申し立てを受けた家庭裁判所は、相手方に養育費を支払うように電話や書面で連絡します。しかし、履行勧告は強制力がないため心理的なプレッシャーを与えて終わりということもあります。

■履行命令
調書、判決文を作成した裁判所に対して履行命令を申し立てると、裁判所から相手へ約束の内容を守るよう通告がなされます。申し立てには手数料500円が必要ですが、もし相手が従わなかった場合は、10万円以下の過料が課されます。(ただし、仮に過料が発生しても申立人には支払われません。)

■強制執行
履行勧告や履行命令でも従わない場合、強制執行もやむなしです。ただし、差し押え対象となる財産は事前に自分で見当をつけておかなければなりません。(対象となる財産を裁判所が探し出すことはありません。)ちなみに、対象となる財産は「不動産」「動産」「債権」の3種類です。

・不動産…土地や建物などの固定資産
・動産…貴金属や美術品など不動産以外の物(有体物
・債権…給与や家賃収入など

相手が会社員であれば、給料の差し押さえが一般的です。
しかし、強制執行を行うには費用がかかます。
例えば、給料の差し押さえを行うことにより相手方が会社をやめてしまった場合には、次の勤務先を対象に再度給与の差し押さえ手続きを行わなければなりません。
また、手続き費用を回収できなければもちろん損失になります。
ですので、強制執行を行うのはどうしても支払いに応じない相手から取り立てる最終手段と考えて行動しましょう。

離婚において一番傷つくのは子供です。時にひどく傷つき不幸にすることがあります。
子どものために少しでも良い環境を整えてあげることを考えるのであれば、適切な養育費を支払う(支払ってもらう)ことは重要です。
養育費の支払義務は、親の生活に余力がなくても自分と同じ生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。
自己破産した場合でも、子どもの養育費の負担義務はなくなりません。
それだけは忘れないで下さい。

離婚という選択肢

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夫婦が離婚に至るまでの理由は十人十色で本当に様々ですが、数ある離婚原因を集計すると、男女とも一番多い離婚原因は『夫婦の性格の不一致』です。もともと他人だった相手と一つ屋根の下で暮らすのですから、恋人期間中では分からなかったことまでもが徐々に見えてしまいます。

「大好きな人と結婚できるなら、どんな苦難でも乗り越えられる!」
「お金はなくても愛さえあれば!」

と思って結婚してみても、実際に一緒に住んで生活を始めてみて分かる理想と現実のギャップにストレスさえ感じてしまうことでしょう。歯磨きやトイレ、服の脱ぎ方など、本当になにげない小さな生活習慣の違い一つで、カンタンに嫌悪感に捕らわれてしまいます。

もともと全く別の育ち方、生き方をしてきた二人が、恋に落ち、生涯を誓い合って結婚という形で一生涯・・・約60年間をともにするということは、正直カンタンではありません。

違う人間同士が住むのですから、相手の行動が許容できる範囲なのか、そうでないのかを問われるシチュエーションに幾度となく見舞われるわけです。その都度、話し合いができる夫婦関係でいられれば一番良いのですが、大切な話ほど目をそらして当事者同士で話し合わないケースも沢山あります。

「小言を言うとケンカになる」
「相談に乗ってくれない、話し合いの席についてくれない」

などとお互いに面倒ごとを避けて通った挙句、不信感や嫌悪感を感じさせて、ストレスに耐えられなくなった時、夫婦として先の人生を歩むにあたって二人にとって最善の道は『離婚』なのか『再構築』なのか、そのどちらかを選択する分岐点がやってくるのです。

 

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余談ですが、離婚調停を起こす場合、離婚の動機として提出する書類の選択肢が13項目選定されているのをご存知ですか?

  1. 性格があわない
  2. 異性関係
  3. 暴力をふるう
  4. 酒を飲み過ぎる
  5. 性的不調和
  6. 浪費する
  7. 病気
  8. 精神的に虐待する
  9. 家族をすててかえりみない
  10. 家族と折り合いが悪い
  11. 同居に応じない
  12. 生活費を渡さない
  13. その他

と記載されているわけですが、離婚調停の場においてはなぜその動機に至ったのか、細かな出来事を事実として伝えなければならないため、主張しやすい「1.性格があわない」がまっさきに選ばれているのではないかという噂もあります。もしかするとそれもあって離婚理由ランキングで常にTOPにあり続けるのかもしれませんね。

 

いざ離婚となっても二人の間に子供がいれば、話し合って決めなければならないことが増えていきます。

とりわけ養育費については、毎月支払う金額がそれなりに大きいため
「まともに約束したのに払ってくれたのは最初の3か月だけ」
「再婚したらもらえなくなった」
と、最も金銭的トラブルになりやすいのです。

養育費とは子どもが大人として自立できる年齢まで必要な費用を、養育しない親が支払うもので、養育費はあくまでも「親が離婚しなかった場合と同等の生活ができるように」と定められた子供の権利です。たとえ離婚しても不貞托卵の子供でない限り、その子供の親であることは一生変わりませんので義務を果たさなければなりません。

養育費には子どもの衣食住のための費用はもとより、保育園から大学までの教育費や医療費などが含まれており、子どもが自立した社会人になるために必要な費用として、支払われるべきとされています。

日本では子供が成人する20歳まで養育費を設定するケースが多いようですが、子どもが自ら大学への進学を望む場合は22歳まで延長することもあるそうです。しかし昨今法律が改正されて選挙権が18歳からと見直しをされたので、そのうち成人=18歳という日がくるかもしれませんね。

なお養育費はあくまでも『子供の成長のため』の費用ですから、もしも子供が亡くなってしまった場合は、それ以上請求できませんし支払う必要もなくなります。

養育費は子どもの権利

子どものいる夫婦が離婚した場合、子どもを引き取らなかった側は子どもが大人として自立できる年齢になるまでに必要とされる「衣食住費」「教育費」「医療費」などの養育費を支払う義務があります

ところが子どもにとって大切な権利である養育費請求にも、すくなからず壁があるのです。
実際に養育費を受け取っていない母子世帯に理由を聞くと、

 「面倒だから」
 「離婚後は一切関わりたくないから」
 「早く離婚したいから」
 「話し合っても、折り合いが付かなかったから」
 「払ってくれそうにないから」

といった返答が返ってきます。
しかしどれを見てもすべて親の勝手な都合ではないでしょうか?
子どもの権利をドブに捨ててませんか?

学校へ通わせていれば、様々な物品が必要になったり、行事への参加費なども必要です。
学用品をはじめ、洋服や医療費なども含めて、子どもの成長に応じて用意する必要があります。
子どもの生活水準を落とさず養育していくために、お金は1円でも多くあるに越したことはないのですから、養育費請求の努力をきちんとするべきなのです。

離婚によって家族がバラバラになること自体が、子どもには大きな衝撃です。しかし、養育費を毎月きちんと支払ってくれる父親の存在が、
「離れて暮らしているけれど自分は大切に思われている」
という印象を子どもに与え、結果的に精神安定に繋がるという統計もあるそうです。

夫婦間の問題は子どもには関係のないことですから、子どもたちを後々苦しめる結果にならないようにするためにも、離婚するときは養育費についてきちんと話し合いをして、取り決めをしておくべきです。

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養育費の相場

お金は離婚した双方がこれから生活していくためになくてはならないもの。さらに離婚の原因において、有責が発生していれば慰謝料の支払い請求もあります。

そんな中で離れて暮らす我が子に対して支払う養育費の話し合いは難航しがちで、養育費の計算が円滑に行えるよう裁判所が作成した「養育費算定表」が利用されていますが、あくまでも参考的な基準になるだけで、それに従わなければ法的な拘束があるかといえば今のところありません。

例えば…

子どもの年齢 父親の年収 母親の年収 養育費
5歳と3歳 500万円 0円 8万~10万円
12歳と9歳 450万円 100万円 6〜8万円
15歳と10歳 400万円 300万円 4〜6万円

といった感じで、養育費を支払う側の収入や親権者の年齢、子どもの年齢などによって金額は変動します。また、これは子どもと離れて生活する親だけではなく、子どもと生活を共にする側の親の生活レベルも、算定条件に入りますので、養育費の金額に基準はありません。

例えば、子どもを母親が全員引き取ったと過程した場合、母親に経済力がないことが証明されれば、離婚し別居となった元父親側が全額を負担することになります。

養育費の金額が協議の席で決まらない場合は、家庭裁判所や地方裁判所の判決に委ねることができますので、子どもためにもきちんと取り決めましょう。

協議で養育費が決まらないケース

子どもがいる夫婦が離婚をする場合、 『どちらが子どもを引き取るか』という問題と並行して、『養育費をどうするか』という話し合いが不可欠になります。そのため協議離婚の場合、お互いの主張がすれ違い、金額の折り合いがつかずに一向に話がまとまらないケースもよく見受けられます。

養育費は子どもを養育しない側が、直接面倒を見ない代わりにお金を払うもの。
そして養育費を受け取ることは子供の正当な権利である。

離婚後はどちらも収入が不安定になったり、減額になるわけですから、少しでも多くの資金を手元に残そうと考えるため、意見の折り合いがつかないのは仕方のないことですが、金額のみならず、分割払いにするかどうか、支払日や支払いの期間、進学や入院などで特別出費について、親権者が再婚した場合など、細部まできちんと決めておかなくては後々困るのは子どもを引き取った側です。

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公正証書に残す

どうしても協議で決まらない場合は、『離婚調停』とは別に『養育費請求の調停』を申し立てることができます。

慰謝料や財産分与など主に離婚に関することについては双方の折り合いがついているなら、離婚だけ先に済ませてしまい、養育費についてのみ別途調停を申し立てて…というもの。

調停でも合意に至らなかった場合は、家庭裁判所で子どもの年齢や、父母の財力、労働能力、子どもの養育に必要な生活費や教育費など、さまざまな項目を考慮して養育費についての審判が下ります。

離婚後によくあるトラブルに良くあるのが養育費の未払いですが、夫婦間で話し合って協議離婚が成立した場合も含めて、話し合った内容は「公正証書」として書面で残すようにしましょう。これはお互いに離婚や条件に合意したことを証明し、法的効力を持つ大切な書類です。

公正証書は法的な強制執行力を持つため、養育費の未払いについても、相手の給料の差し押さえや天引きなどといった対応策をとることもできるようになります。